失語症からの言葉ノート

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失語症

からの

言葉ノート

楽しみながら言葉がつながる

01

父が脳梗塞から、
失語症になりました

 脳梗塞で倒れた父は一命はとりとめましたが後遺症として失語症になりました。
 初めは、「あー、あー」とまったく話せませんでした。少しずつ言葉が出るようになりましたが、母の名前「タ、カ…」と言いながら、書いてもらうと「ス」とまるで違う文字を書くので驚きました。それでいて「極」のような難しい漢字は書けたりします。

 後から知ったのですが、失語症の症状は人それぞれで、聞いた言葉を理解できない人、つながらない言葉を流暢に話す人、数字や時間が苦手になる人、いろいろあるそうです。
men
Speech
01

医師が勧めたのは、
小学生用の国語ドリル

 小学生用の国語ドリルでイラストを見ながら「さる」「ぬま」「かき」と文字を書く練習をしました。
 あいうえお、かきくけこ…、五十音表も写し書きです。

 80歳になって「さる」「ぬま」「かき」かぁ、書ける漢字もあるのだから、もっと身近な言葉から練習したらいいのにと思いながら寄り添いました。

 そんなある日「鞆(とも)の浦に連れていったことなかったかな。鯛料理が美味いんだけどな」と父から昔話を始めました。もちろん言いたいことが言えなかったり、私も聞き取れなかったりします。
men
Speech
01

「話したい」気持ちが
言葉をつなげます

 それでも、その場で鞆の浦を調べて「この店だね」「食べたいなぁ」「尾道にも行ったの」と次々に言葉がつながり始めました。
 リアルなコミュニケーションの中で、言葉の概念と音がつながっていく。とても嬉しかったのを覚えています。

 それからは、練習のための練習ではなく、できるだけ多く会話をして、そこから言葉を書き出すことを続けました。
 3か月経って父の失語症は医師も驚くほど良くなりました。3年経った今は新聞を読み日記を書き日常会話はほぼ問題ない状態です。
men
Speech
01

失語症は回復します!
ぜひ効果的なリハビリを

 後に専門書を読むと、失語症の回復には「話したい気持ちが大切」で「言葉を関連づけて引き出す」とあるので、父の方法はあながち間違いではなかったとわかりました。
 それならば、父が「鞆の浦」を思い出したように、何か「話したい」気持ちになる「きっかけ」があればいい。

 聴く、話す、読む、書く、得意なことから始めて、症状にあわせて自由に使える失語症専用のリハビリノートが必要だと強く思いました。それが『失語症からの言葉ノート』を開発したきっかけです。
men
Speech
01

脳の言語中枢が傷つき、
言葉の意味と音が混乱します

 失語症の90%以上は脳卒中(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞)が原因です。脳の左側にある言語中枢が傷つくと、後遺症として言葉を理解したり表現することが難しくなります。言葉の「意味」と「音」と「文字」のつながりが混乱した状態なので、こんなことが起こります。

相手が何を言っているのか
音は聴こえても理解できない。

話せない。言葉が浮かばない。
関係のないことを話してしまう。

文字を読めない。
音読できても理解できない。

文字が書けない。特に音を表す、
ひらがな、カタカナが書けない。

計算ができない。
地図やカレンダーが理解できない。

men
Speech
01

症状は人それぞれですが、
思考、人格はもとのままです

 聴く、話す、読む、書く、4技能の障害の組み合わせで、症状は千差万別です。同じ症状の人はまずいません。ただ、頭の中には言葉も意味も残っています。また思考、判断、人格など、言葉に関すること以外は衰えていません。
 失語症を例えるのに、言葉のわからない外国にひとり放り出された状態とよく表現されます。
 知らない言語でがなり立てられてもどうしたらいいのかわかりません。伝えたいことがあっても話せない、書けない、さぞもどかしいことでしょう。言葉がわからず立ち尽くす人が思考、判断、人格がないわけではないですよね。
 ご本人もご家族も驚いたり戸惑うのは当然です。でも失語症はリハビリで回復します。失語症を理解して少しでも早く適切なリハビリを始めましょう。
 症状を診断しリハビリの計画を立ててくれるのが言語聴覚士(ST)です。医師、看護師、理学療法士、作業療法士、ケースワーカーらチームを組んで取り組んでくれます。
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3週間、3か月、3年を目標に
焦らずじっくりリハビリ

急性期(発症〜3週間)

 目標は「コミュニケーションをとること」です。発話ができなくても、「こんにちは」と言われて微笑んだり、絵を指さして欲しいものを告げられれば、徐々に気持ちにゆとりが生まれます。脳に障害を受けているのでリハビリも最初はすぐに疲れる負担の大きい作業です。

回復期(〜3か月)

 症状に合わせて、聴く、話す、読む、書く、得意なところから言葉の「意味」と「音」と「文字」のつながりを取り戻します。頭の中にあるイメージと言葉をつなげる→正しく音を並べる→口や喉を動かし発話する→文字や音から意味を汲み取る→言葉がイメージになる、この繰り返しでリハビリを進めます。

生活期(それ以降)

 失語症はまだまだ良くなります。言語聴覚士によるリハビリとは別に、生活のなかで言葉を取り戻していくために家族の理解と協力がとても大切です。ひとり暮らしの人も積極的に会話の機会をつくりましょう。決して焦らず、あきらめず、少しずつ取り組みましょう。失語症は年単位で良くなります。
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家族は追い詰めず諦めず、
会話の機会を増やしましょう

 家族は本人以上に戸惑い早く回復させようとしがちですが、一番大切なことは失語症を理解し、本人が今までどおり安心してリラックスして過ごせる雰囲気をつくることです。
 言葉以外のコミュニケーション(身ぶり、表情、絵など)も大事です。本人をよく見て言いたいことを読み取ってください。よく使う言葉の絵を描いた会話ノートをつくると便利かもしれません。
 話しかけるときは、本人の目を見て、ゆっくり、はっきり、端的に伝えます。話を聴くときは、先回りしたり、さえぎったりせずに、黙って、ゆっくり待ちます。できるだけ待って、それでも助け舟を出すときは、「○○? それとも△△?」と質問をして言葉を引き出します。追い詰めないように、また諦めることなく、できるだけ自然に、おしゃべりの機会をより多く設けましょう。
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家族がやりがちで、
でもやってはいけないこと

子供扱いする

話せなくても頭はしっかりしています。自尊心が傷つきます

できないことを責める

本人が落ち込みます。落ち込むと回復が遅れます

五十音表を練習させる

言葉自体が出てこないので五十音表は意味がありません

クイズ

「これ、なんだ?」とものの名前を言わせるのは苦痛なだけです

ヒント

「アで始まる食べ物だよ」などというヒントも意味がありません

叱咤激励

「もっと頑張れ」「まだまだだね」などはNGワード

目標設定

「来月までに〜」「ここまでできるように」など追い詰めないように

大声で話す

聴力が衰えているわけではありません。うるさいだけです

漠然とした質問

「どう思う?」ではなく最初は「はい」「いいえ」で答えられる具体的な質問を

焦る

早く良くしようと焦るのは逆効果です、意識して長い目で見るようにしましょう

あきらめる

当然ですが、話してもわからないとあきらめてしまうことが一番よくないです
※参考文献/『失語症のすべてがわかる本』(講談社)ほか
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暮らしの中から
言葉を取りもどしましょう

身近な暮らしの10のシーンで

構成されています。

食卓の上から部屋の中、

家の中、家の外、海外へと

視野が広がっていきます。

● 暮らしのシーン『部屋の中』より
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絵と同じものが家にもあるね!

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楽しく続けて、
いつのまにか回復!

絵を見ながら思わず話したくなる

工夫があちこちにあります。

またシーンを追うごとに

ステップアップするよう

構成されています。

● 暮らしのシーン『やりたいこと』より
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Speech

楽しみながらステップアップ!

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過去へ未来へ、
言葉が広がります

現在から過去、未来へ。

多くのかたが苦手とする

地図、時計、カレンダーも

コミュニケーションしながら

取り込めるようになっています。

● 暮らしのシーン『カレンダー』より
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Speech

思い出トークは盛り上がるね

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まずは絵本のように
眺めてください

絵を見て気になるところを

指さしてみましょう。

ご家族は落ち着いた雰囲気で

話しかけてみてください。

最初は「はい」「いいえ」で

答えられる質問がいいですね。

bath
mama
bath
papa

最初は眺めるだけでもOK!

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02

色を塗る、写真を貼る、
あなただけのノートに

文字が書けなくても大丈夫。

色を塗ったり、写真を貼ったり、

言葉のイメージをゆっくり

膨らませましょう。

声を出しながら

手を動かすと効果的です。

bath
mama
bath
papa

言葉の意味と音がつながるよ

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声に出せたら書いてみます。
読み書きは焦らず少しずつ

空欄(ブランク)に入る

言葉を発話できたら、

文字で書いてみましょう。

思いついた言葉もどんどん

余白に書き込んでみましょう。

bath
mama
bath
papa

現物を見ながら書くのもいいね

cat
03
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Speech

生活目線のシーンだから、
楽しみながら言葉がつながる

園田尚美さん

NPO法人 日本失語症協議会理事長
公益社団法人 日本脳卒中協会理事
(株)言語生活サポートセンター
代表取締役
 私は、旧「全国失語症友の会連合会」時代も含め足かけ20年以上、全国の失語症のかたや家族のかたの相談に乗ってきました。
 『失語症からの言葉ノート』の制作段階では、その経験からいろいろなアドバイスをしました。シーン選びもそのひとつで、復職を焦らないように会社のシーンをカットしたり、多くの当事者が希望する海外旅行のシーンを入れたりしました。
 この本の最大の特徴は、言語聴覚士目線ではなく、あくまで当事者の生活目線であること。
 すべてのシーンが生活に直結しているので、気が向いた時に楽しみながら、一日に何回でも取り組めます。どちらかというと、言語聴覚士のグループワークより、個人的に家庭で使うノートです。リハビリ、訓練というより、楽しみ、日記という感じでしょうか。

 家族は、「このシャツは赤で塗ろうよ」と指さして、「赤」がわかっているかどうか知ることができます(「赤はどれ」と確認するのはいけませんよ)。
 次は指を差さずに「スカートは青にする?」と「スカート」「青」がわかっているかどうか知ることができます。「シャ、ツ」「ス、カー、ト」と反復するうちに、発話できるかもしれません。
 聴いて理解できない人には、指をさし、絵を描き、文字を書き、話しかけます。そんなふうに、そのかたの症状にあわせて、丁寧に少しずつコミュニケーションをとることができます。
 また、当事者も家族も「おはよう」「にゃあ」「何が食べたいですか」と書いてある文字を、どんどん音読するのが効果的です。
 私は、この本のシーンごとに会話が録音されたCDがあったらいいなぁと思っています。CDがあったら独居の人でも自分のペースで繰り返し聴いて会話の練習をすることができますよね。  

こんな感想を
いただきました

森三千代さん

訪問看護師
 高次脳機能障害のかたは訓練次第で機能の再獲得に差が出ると実感しています。この本は認知症の予防的リハビリにも良さそうです。言葉が出にくくなったかたに試してみたいです。

『月刊ケアマネジメント』

12月号書評より一部抜粋
リハビリに感じさせない工夫により、本人は楽しめるし、元気だったころの夫の笑い声が聞けた家族はパワーをもらった。言葉を取り戻すのに必要なのは訓練ではなく、こんなコミュニケーションツールなのだと思う。

東京新聞12月12日朝刊

社会面記事より一部抜粋
専門家も注目する。NPO法人日本失語症協議会の園田尚美理事長は「言語聴覚士が語彙を増やすことなどを目的に作った既存の問題集と違い、イラストを見て会話を広げていくという発想は画期的」と話す。

Kyodo Weekly』2022.1.24号

「風まかせ筆まかせ」より一部抜粋
案の定、生き生きした顔でページを繰り、色鉛筆で色が塗れるところが特に気に入った様子。(中略)『失語症〜』ではなく『年配の人との会話ノート』と言い換えてもよさそうだ。

(50代主婦)
今まで子供向けの国語ドリルに見向きもしなかった夫が、この本は手に取り、空欄に文字を書き込んでいます。ここから会話が始まればいいなと思っているところです。

(60代当事者)
絵を見て家族と会話したり空欄を埋めたり、1シーンに1週間ずつかけながら、たまに行ったり来たり復習しながら3か月かけて1冊終えました。自分ではまあまあできると思っていたのですが、先日シーン1に戻ったら、最初に取り組んだときよりずっと回復していることが実感できて、その成長ぶりに自分でもうれしくなりました。ありがとうございました。

『失語症からの言葉ノート

 聴く、話す、読む、書く、
 楽しみながら言葉がつながる』
 1650円(消費税10%込)
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